金沢市宝町で女子専用学生寮をして今年で11年目になります。寮母の住田早智です。
少し早めで、今年最初の当館卒業生。
大学の芸術学部で、コツコツとセンスを磨かれました。
「将来は大阪に出て、勉強したい」と。
夢を語る彼女の眼は、透き通るような輝きを持っていました。
時には課題で行き詰まったり、ハードな授業で疲れ果てたり、
大好きな魚の煮つけを美味しそうに頬張ったり。
一つ一つが昨日のことのように、私の手のひらの中で泳いでいます。
今、彼女が新しい世界に向けてはばたく準備を始めてる姿は、
自分の忘れかけた「あの頃」と重なり、懐かしくなります。
きれいにクリーニングを終えた「2-D」のお部屋
来月は、抱えきれないほどの夢を携えた新しい子の生活が始まるでしょう。
もしかして、ここは「不思議の国のアリス」の入り口かも、と
空っぽになった部屋を見ながら、ささやかな妄想にふけっています。